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韓国で初めて開催された400kmブルベをAJ福岡の岩本さんと共に走ったオダックス近畿の森脇さんのレポートです。

韓国ブルベは誕生したばかりとはいえ、主催者は世界各国を走るドイツ系アメリカ人のLothar Hennighausenさんで、2011年には1000kmも実施されます。韓国の美しい景色とおいしい料理に加えて国際色豊かな1000kmブルベを味わえるでしょう。

2011 Shoreline Express 1000k(pdf) 日本語版 英語版 (2010.12更新版)

Korea Randonneurs site: http://korea-randonneurs.kr/

写真はクリックスすると拡大します。


今回の地図


キューシート


1.Introduction 2.ソウル市街はホントにややこしいです 3.韓国の高速バスはかなりお得です 4.長くなりましたがようやくブルベの話です 5.一風変わったPC 6.パンク、パンク、パンク 7.意外に日本語、通じます 8.日本から最も近い外国、韓国

1.Introduction

▲Hallyeo Haesang 400 の招待状(拡大版pdfはこちら)
▲金浦空港
4月3日。

今年から開催されている韓国のブルベへ九州の岩本さんと共に参加してきました。招待して下さったのは、昨年のドイツARA1200 にも招いて下さったドイツ系アメリカ人のLothar さん。彼とは昔、泉佐野600で通訳走行してからのご縁になります。

ばたばたとした日常の中、今回も情報収集の時間がなく、少し不安な参加でもあったのですが、「まぁ〜結局は飛行機に自転車を乗せ、人の住む地で走るだけなので大丈夫でしょう・・・」と、いつもの軽い感覚で2日前、木曜の夜に大韓航空に搭乗。

まずはソウルの金浦空港からスタート地点、光州まで夜の韓国を走り出します。先に韓国入りしている岩本さんから、「釜山は大雨だよ。」と直前にメールを頂いていたのですが、ソウルはなんとか晴れ。

1時間半でバイクを組上げ、あらかじめ調べておいた地下鉄の駅のコインロッカーに緩衝材類を預けて出発したのは翌0時過ぎ。いきなり深夜スタートのブルベ気分です。

▲夜中の怪しい組み立て風景 ▲1時間半後

韓国お役立ち情報
▲地下鉄駅の近くのコインロッカー

※このコインロッカー情報というのはショートステイでは結構有用で、すべての荷物を背負って現地まで移動する事を考えると、梱包資材等、渡航時以外に不必要なものを省けれるので気持ちを楽にしてくれます。

※ちなみにコインロッカーには預けれる期間の期限があり、ここのものは1週間で管理会社が中身を引き取りにくるので注意が必要です。

※今回のお値段は約6日で18,000ウォン(1,800円)とお得感満載でした^^v

2.ソウル市街はホントにややこしいです

▲国道1号線(1)
▲国道1号線(2)
▲多く見られた高層の団地
▲夜にはライトアップされる教会
▲ランドナーの憩いの場?
英語版のGoogle Map でダウンロードした地図を参考に、まずは国道1号線を目指しソウルの町へ。

しかしここで改めて自分の方向音痴度を再認識する結果に・・・

ソウルの道路が難しいというのもあるのですが、複雑に高架がループしている箇所では油断していると知らぬ間に真逆の方向に走っていたりします。

結局いろんな人に道を聞きながらの走行になったのですが、個人的な感覚で、英語のヒット率は20%ぐらい?

最初の95km を5時間強程かかり、もうこの時点で前夜祭に間に合うかどうか・・・

こんな時はやはり思いますよ、「GPS 欲しい。」

淡々と車のみが行き交う国道1号線を走り、朝10時頃、光州まで丁度半分ぐらいの所でしょうか? 大田市から少し南に位置するGyeryong という小さな町から先にLothar さんと合流している岩本さんに電話した時には眠さも手伝いモチベーションは低下。

加えて彼の「これ、全然でたらめよ〜」との悲痛な第一声に、楽する高速バス輪行へ心がぐっと・・・

Lothar さんも多忙の中、約1ヵ月中に200〜600のフルシリーズをプランニングしたため、今年の韓国シリーズは試走と本番を混在させた日程。

その中、自分たちが最初に招待されていた600km のコースは、実は翌週に開催予定の試走コース。

初開催の苦労も思い、「協力しましょうか?」という感覚でもあった岩本さんに待っていた最終計画が、Lotahr さんと他2人の参加者は同日に開催する400km を走り、「自分たち日本人二人、もしくは岩本さんだけが600km の試走をしない?」というもので。

「え!? 一人で全然知らないところを走らないといけないの?」(僕は出発前にすでに400km を走るとLothar さんに告げていたので)というのが上記の言葉の所以。

後に紹介させていただく事になりますが、他2名の参加者とは韓国人ではなく、同じようにLothar さんから招待を受けた外国人。

もともとこの韓国ブルベ自体は韓国で仕事をもつアメリカ人のLothar さんが、この地でも良いルートがたくさんあるので、是非とも走ってみたいという所から始まっているため、ネイティブとして韓国に浸透していない彼が韓国の人をいきなり集めるのは難しかったというのが現実で・・・

日本や他の国での初開催の話を聞くに、発起の動機は似ており、また小さな始まりなのですが、ノンネイティブがいきなりオーガナイズしているところがこの韓国ブルベの特異点。

そういったことで来年に向けて、隣国で巨大な参加人口を持つ日本や地元韓国の人の参加者を募る事をお願いされての今回のレポートでもあります。

※皆さん興味がありましたら、是非来年参加してみて下さいm(_ _)m

Korea Randonneurs: http://www.korea-randonneurs.kr/

3.韓国の高速バスはかなりお得です

▲自転車は丸ごとトランクへ
▲光州バスターミナル
▲こんだけあって6000won
▲鉄板焼き
▲・・・にビール
結局その時点で本番に誰のエントリーもなかった600km の試走はナシにして、みんなで仲良く400km を走ることにし、自分としては、「この先トラブルでもあり晩ご飯に間に合わなかったらみんなと遊ぶ時間が減るやん。」と言い聞かせて輪行へ。

※飲み会ほど海外ブルベにおいて重要なものはありませんし・・・でもまぁ〜、言い訳なんですけどね@@;

各交通機関に電話までして移動手段を調べてくれた地元のFamily Mart の店長さんや、ガイドブック持参の岩本さんの解答は高速バス。

この国のインターシティー交通を考える際、高速バスはかなり有用で、しかも自転車をそのまま積んでも全くおとがめナシ。(http://www.kobus.co.kr/web/eng/index.jsp

緩衝材として段ボールを敷いて積んだ自転車と共に、約2時間半の爆睡の後、光州のバス乗り場で岩本さんと合流しました。

しかし、最近ちまたに宣伝されている格安という韓国の観光情報はよく言ったもので・・・とにかくいろんなものが安い。

200km 近く移動する光州までの高速バス運賃は14,800ウォン、バス乗り場でとった最初のまともな食事は5,000ウォン、翌スタートまでの温泉マークのついた怪しい安宿は一泊インターネット付きで20,000ウォン。

日本円にはゼロを一つとって換算すれば良いので、欧州や北米での参加と比べるとずいぶんお得な感じがします。

夕方6時。

Lothar さんのアパートには、参加者が続々と集合。

まずバイスプレジデントとして、他200km、300km も走ったドイツ人、Ulrich Schonemann。

次に在韓米軍のアメリカ人、Russell Morris。

前夜祭(まぁ〜単なる飲み会なのですが・・・)は近くの居酒屋、鉄板焼きにて乾杯!

再三になりますが、この瞬間は海外ブルベにおいて最も楽しいものの一つです。

それぞれの近況を話したり、新しい出会いがあったり。

明日はこのメンバーで一緒に走ります。

4.長くなりましたがようやくブルベの話です

▲岩本さんは今回も国際親善スタイル(でも韓国人は・・・)
▲Lothar さんのアパートを出る一行
▲朝一でも市街地はそれなりの交通量
▲郊外にでると快適!
日本より北に位置する韓国は4月のこの時期でもかなり寒いです。

ソウルからの行程では、道中の水たまりが凍っていたりと走行スタイルは冬仕様。

快晴に恵まれた朝7時、スタート地点CNU を発ちます。

土曜の早朝とはいえ、100万都市光州市街の車の交通量はそれなりにあります。

所々、マンホール部分に少し深い穴があったりと、ロードバイクにとって決して良いとは言えない市街地を気をつけながらまずは郊外へと抜ます。

ご存じのように、韓国の道路事情はフランスと同じ右側通行。

加えて、信号が赤でも車が来ていなければ右折可というルールがあります。

直進する交差点で、赤信号の際は直進レーンの右側にいれば良いのですが、右折レーンに待機してしまった場合は、そういった右に曲がる車のことを気にかけなければなりません。

日本で聞いていた韓国のドライバーの荒さの噂はというと、気になったのは信号無視ぐらいでしょうか?

田舎のほうでは、夜中の信号が赤信号でも、他の車が来ていなければ基本的に彼らはお構いなしで、どんどんと自分の進みたい方向へ走ります。

ただ、逆をかえせば違法な事をしている訳なので、事故を起こさないよう注意をして走っているという印象はあり、その事でひやっとした思いはありませんでした。強引に幅寄せさりたり、無駄にクラクションを鳴らされたりという思いは、今回に関しては感じることはなかったです。

※そもそも自転車で走っている人の人口が少ないため、この国ではドライバーとの怨恨が無いのかもしれません。

 Lothar, Russ, Chikara, Uli

5.一風変わったPC

▲Uli 一発目
▲観光客と共に渡河
▲道中の歓談も楽し!
▲PC2 はパン屋さん
▲パッチを当てるUli
400km のルートは光州(Gwangju)から西へ、泗川(Sacheon)方面へ行って帰ってくるもの。

季節はちょうど梅と桜が綺麗な時期で、市街地を抜けるとのどかな行程。

道中には歴史を感じさせるお寺や石碑も多々あり、初めて訪れたこの国の観光気分を味わいながら進んでいきます。

Uli のパンクなどを経て、最初のPC、Weon Yang Police Station(37.8km) には9時頃到着。

そう、表記からも分かるように、このPC、警察署なんです。

ウソかホントか分かりませんが、韓国の田舎の方の警察はかなりフレンドリーだそうで、コントロールの話を電話で頼んだら快く引き受けてくれたとか・・・

今回は少人数ということもあり、コーヒーまでごちそうになり、ついでにみんなで記念撮影。

Lothar さんはアメリカ人のため、カードのチェック方式は、指定されたコントロールで働く人にサインをもらう方式を採用。

したがって、今回は唯一ハングルが達者なRuss がおおかたカードの交渉役。

各々で走る場合、海外からの参加者には、ブルベの認定のためにサインしてくださいという紙を用意して頂き、それで対応するようにしています。

▲PC1 Police Station ▲おまわりさんに入れてもらいました ▲おまわりさんにサインしてもらいました ▲外人はみんな是を持って走ります ▲みんなで記念撮影

河川沿いに次のコントロールはGruye へ。

ペースものんびりと30km/h 前後で淡々とRt.60 を進みます。

途中、ユース用のキャンプ地近辺で渡河し、車の交通量の少ない道は延々と並木道。

道中の雑談もまたブルベの楽しみ。

そんな中、ここで初めて自分たち以外のサイクリストを発見。

台湾なんかでもよく見られた風景なのですが、空気を気にしてでしょうか?彼らの多くはバンダナでマスクをしながら走っています。

乗っているバイクもほとんどがマウンテンバイク。

Lothar さんが、地元にむけて宣伝をいろいろした際に、「この国でポピュラーなのは大方MTB っぽくてなかなかブルベみたいなものに参加する人がいなんだよ。」と言っていた事が分かるような気がしました。

Gruye のコントロール(77.2km)はパン屋さん。

まだ距離が離れていないコントロールなため、24時間営業じゃなくても大丈夫なんですね・・・

ここも、いささか主催者のこだわりありで、店の名前はフランスをイメージしてか、「Paris Baguette Cafe」。

「ええやろ〜、ここで朝ご飯を食べれるように考えてるんや。」

自慢するLothar さんの隣で、スペアタイヤのないUli はパンをくわえながらパンク修理。

6.パンク、パンク、パンク

▲Rt.861
▲梅花村
▲Flat tire again!
▲カップ麺がいっぱい^^v
▲小島をつなぐ大橋
▲島のアップダウン
▲屋台!
▲そしておでん!
たらふくおいしいパンを食べた後、智異山(Jirisan) をかまえるこのGruye から、次のコントロールは港町Sacheon へ。

道中、梅花村ではお祭りの屋台がでていたりと休日楽しむ韓国の人々の横を走り抜けていきます。

ちなみに今回は400km なので、野宿の心配は考えなかったのですが、韓国のバス停はしっかりと作られているものが多くあり、これなら中でレスキューシートにくるまれながら休むことも出来るなぁ〜なんて、ランドヌール的視線。

この国では床暖房がない家は考えられないと日本に住んだことのある地元の友人が言うように比較的冬は寒いというのが理由に思います。

▲おもわず立ち寄りたくなる屋台 ▲おもわず目がいくバス停その1 ▲おもわず目がいくバス停その2

そしてこの区間でもUli はまたしてもパンク。

「日本製のチューブにしなよ〜。」と冗談を飛ばす岩本さんに「この中国製でも、数年に1〜2度くらいしかパンクしないのに・・・」と苦笑い。

Cacheon(161.6km)のコントロールはオーソドックスにコンビニ、Family Mart。

最近日本でも多く見かけるようになったスタイルではあるのですが、韓国でも郊外の少し大きな店舗は中で食事が出来るようなテーブルがあったりします。

この店内で驚いたのはカップ麺の種類の多さ。

お湯は常設の給湯システムが配備され、どうぞ食べていって下さいと言わんばかり。

しかし、まだ寒いこの時期のブルベには嬉しい限りで・・・

この後何度も激辛風味で体を温める事になりました。

そしてここからは、延々と絶景の海岸線をひた走ることに・・・

島々を転々とつないだコースは何度も大橋を渡り、その度にスケールの大きさを味わいます。

海岸線のアップダウンも楽しめ、個人的にはこの区間が一番楽しかったですね。

 やっぱり海はいいです^^v

道中は、屋台に立ち寄りおでんを食べたり、Russ のハングル講座を受けたり・・・(もうすっかり忘れてしまいましたが@@;)

夕方日が暮れる前に、全体の約半分Mi-jo(208km) のコントロールにばらばらと到着。

またしてもパンクしたUli の到着を待って晩ご飯ポイント、Sang-ju を目指します。

7.意外に日本語、通じます

▲休日で人はいっぱいでした
▲Uli はタイヤが最も似合う男です
▲寒いときには一番!
▲おごってもらった焼酎で乾杯
▲帰路の橋はまた幻想的
Sang-ju(223km)には20時前に到着。

お腹がすいていたので、Lothar さんがしきりにオクトパス、オクトパスと叫んでいた地元の海鮮料理屋へ駆け込む。

残念ながらシーズンが違い、タコ料理は食べられなかったのですが、とうがらしてんこ盛りの鍋は体が温まります。

韓国で思ったのは、意外に英語より日本語のほうが通じる? というもの。

ここは比較的九州に近く、日本からの観光客が多いというのもあるのでしょうが、お店の人は「昔、横浜に住んでいたんですよ。」と焼酎をおごってくれました。

帰国前に少し観光をしたソウルでも、場所によっては日本語が飛び交っていたりと、そういった意味では自分たちには親しみを感じやすい国という印象をうけます。

ちなみに、ここでもUli はパンク修理!^^;

暖まった後のナイトランは、復路Gurye(334km)のMini Stop まで100km 以上の行程。

海岸線沿いは夜景が綺麗だったりと見所はあったもの、それよりも何よりもこの季節の夜中は極寒。

冬装備をしているにも関わらず、手足の末端はどんどんと冷え、日本の冬ブルベと同様凍えながら走ってきました。

気温としてはUli が持つ温度計が−2℃を表示。

多分もう少し気温は下がっていたと思うのですが、氷点下を下回ると風を切って走る自転車はいつも辛いです。

最後のコントロールになる、前日の朝に訪れたWeon Yang Police Station(373km)では、みんな死にかけてるように見えたんでしょうね。

警察官の接待は栄養ドリンクの提供にまでもエスカレート・・・

遠慮無く飲み干した後は、眠さも手伝いみんな暖房の前でしばしの間、寝落ち。

これ、参加者が増えたらどうなるんでしょうね?

いつか、きっと警察署のPC というのは無くなるように思います。

▲朝鮮人参の絵やら、体によさそう そして、1、 2、 3!でこうなる

このまま寝ているとゴールに間に合わなくなるので、残り40キロ弱、眠い目をこすってぼちぼち走り始めます。

こういったシーンでいつも思うのは、太陽の偉大さ。

明け方、最後の最後で今度は自分のリアがパンクしたのですが、なんとかみんなそろって時間内にゴールしました。

 いやぁ〜皆さん、お疲れさまでしたm(_ _)m

その後はコンビニの隣にある韓国料理店で朝ご飯を食べ、近くのLothar さんのアパートでそろって爆睡。

昼過ぎ、新しい仲間もぞろぞろと流れ解散で帰路につきます。

8.日本から最も近い外国、韓国

個人的な話なのですが、今年はU.S. のCascade に遊びに行くため帰国後渡航費を稼ぐため、かなりばたばたと一月以上経ってのレポート提出。早くからレポートの依頼を受けていたLothar さん、岩本さん、白木会長には申し訳ない限りです。

しかし、やりたいと思った事はコツコツとこなしていけば実現してしまうもんなんですね。昨年、ドイツにてこの構想をLothar さんから聞いたときは半信半疑だったのですが、形はどうであれ、たった半年で彼はフルシリーズを開催しちゃいました。

よく行くカナダB.C.Randonneurs で聞くAudax Japan 発足の歴史なんかにしても然り。

パイオニアの偉大さには感服する限りです。

Korea Randonneurs の今後の課題はいかに地元の人や多くの人に楽しんでもらえるようにするか? ということだそうです。

日本から最も近い外国、韓国。

今年はすでに終わってしまったのですが、来年のシリーズ、おいしい韓国料理を食べに集う日本人ランドナーが多く参加される事を願います。

Korea Randonneurs site: http://korea-randonneurs.kr/

Report & Photo : Yutaka Moriwaki (Audax Kinki) May 12. 2010

Photo : Chikara Iwamoto(Audax Fukuoka): http://picasaweb.google.co.jp/chikara.Iw/KOREA400BRM#

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